2012年1月30日月曜日

SNSは特化型がトレンドに FacebookやTwitterと上手に住み分けたサービスが成長する

すっかり世の中に定着してしまった感のあるSNS。ICT総研の12/27発表資料によると、日本のSNS利用者は4,289万人(普及率45%)に達しているとのこと。そんなSNSはここ最近、汎用型から特化型へとトレンドが移り始めているのです。

so-many-social-networks / socialmediahq



  寡占状態になった汎用型SNS
ここで言う汎用型SNSというのは、ユーザが広範囲にわたるSNSサービスのことを指します。男女問わず、幅広い年代の、幅広いニーズにこたえられるSNS、ということです。

この汎用型SNSは概ね体制が決まってきており、日本国内であればTwitter、Facebook、Mixi、Google+といったところを中心に寡占状態になっています。ここで注目なのは、後発でったGoogle+の苦戦です。いまだユーザ数が伸びず、AKB48を投入したり、ゲームを投入したり、「Search, plus your world」を発表したりと、あの手この手で攻めていますが、シェアが伸びていません。
出典:ニールセン 最新SNS利用動向レポート



  汎用型SNSと住み分けたソーシャル・ゲームの成長はあと1~2年
汎用型SNSに近いサービスではありますが、市場を住み分けて成長しているのがソーシャル・ゲームでしょう。いわずと知れたGreeやモバゲーです。

特にGreeはもともと汎用型SNSとしてサービスをスタートしていました。しかし、2000年代後半にMixiに追い抜かれ、競争力を失っていきました。そこでゲームにフォーカスをして、汎用型SNSとはすみ分けたソーシャル・ゲームを展開したわけです。その結果、売上高1300億円(2012年6月期予測)にまで成長したのです。

モバゲーを展開するDeNAももともとはECサイトなどを提供しており、2007年には中高年向けのSNS「趣味人倶楽部」を開設していました。そこからゲームに特化し、SNSサービスを付加的に提供したモバゲーを投入。その結果、横浜ベイスターズを買収するにまでに成長しているわけです。

ソーシャル・ゲーム市場については汎用型SNSと住み分けて成長しているものの、既存のゲーム企業もソーシャル・ゲームに進出しており、あと1~2年もすれば(2014年前半ぐらい)飽和状態となってくるでしょう。今すぐ投資をしてゲームコンテンツを開発し利益獲得までもっていける、という企業でなければ新規参入は難しいかもしれませんね。




  増え始めた特化型SNS

汎用型SNSが寡占化し、ソーシャル・ゲームの成長もあと1~2年という状況。しかし、SNSに新規参入にはまだ可能性があります。そのキーワードが“特化”です。特定領域に絞り込んで、確実にそのニーズをつかむ、という戦略に出てきているのです。

すでに位置情報を利用したForsquareや、ビジネス利用に特化したLinkedInは有名になってきています。これに対し、最近はよりニッチなニーズを狙ったSNSもぞくぞくと登場しているのです。ちなみにこうしたSNS、なんだかんだTwitterやFacebookとの連携機能がついていたりします。


Between http://appbetween.us/
2人だけのコミュニケーションに特化したSNSです。夫婦や恋人、親子など、ごく親しい人同士でコミュニケーションをするための、いわば秘密のツールなのです。


Pinterest http://pinterest.com/
画像に特化したSNS。とにかくビジュアルに特化しています。画像を中心にコミュニケーションをするので、言葉の壁も下がり、世界中に友達をもっともっと作れるかもしれません。


サイボーズLive http://live.cybozu.co.jp/
ビジネス機能に特化した、日本発のSNSです。もともとグループウェアを提供しているサイボウズらしく、文書管理やスケジュール管理の機能なども搭載。複数企業での共同プロジェクトにはとっても役に立ちます(実感値)



  まとめ;これからは汎用型SNS+特化型SNSを上手に組み合わせる ⇒ アナリティクス・サービスで応用
寡占状態になったとはいえ、まだまだ汎用型SNSはユーザ数を伸ばしていくことになります。そうなってくると、汎用型SNSは私たちにとってコミュニケーションの基盤のようなツールになってくるでしょう。携帯電話で言えば、どのキャリアを選ぶか、といった感覚になってきます。

その汎用型SNSを前提に、自分のニーズにあった特化型のSNSをどう使うかがポイントになってきます。趣味や価値観、仕事の内容、住んでいるエリアなどに特化したサービスは数多く出てくるので、自分にとって便利で楽しいものを選んでいくことが必要になるわけです。

ちなみに、この汎用型SNSと特化型SNSはどこかしらの部分で連携するため、基本的に情報は汎用型SNSに集約されていくことになっていくでしょう。

こうした特化型SNSを提供する企業(または活用しようと考えている企業)は、
 ・ユーザにとって便利で楽しいもの、と思ってもらえるように領域を絞込み
 ・ユーザ視点でサービスを作っていくこと
が絶対的に必要になってきます。ユーザエクスペリエンス、ゲーミフィケーションといったキーワードに触れる機会が多くなっていくでしょう。

また、特定領域に特化したSNSによって集められた情報はアナリティクス・サービスでも利用価値が高くなります。より深くニーズを掘り下げたアナリティクスが可能になるからです。企業は特化型SNSを考えながらもアナリティクスまで見越したサービス提供をしていく必要があるわけです。


関連URL)
ICT総研 SNS利用動向・広告活用状況に関する調査
ニールセン 最新SNS利用動向レポート